kusuari7777 diary

ありすの学問「 あり学」へようこそ                         ✨著書 「捧げたかった…。-twin soul fantasy- 」by リラン✨

🌺そっくりさんの話🌺

この世の中には自分のそっくりさんが何人かいると言う。

少なくとも私には二人いる。

初めてその存在を知った時、私は自宅からバスで20分程の街のお祭りに来ていた。

10m位離れたところから手を振りニコニコしながらとっても嬉しそうに駆け寄ってくる女性が

いて、そして私の知らないその人は明らかに私めがけて駆け寄ってきていた。

私にとっては全然知らない人だけれども目を逸らすこともできない時間だった。

あまりにも彼女がウキウキした表情だったから私も思わず微笑んでいたと思う。

駆け寄った彼女は私に「え〜なんでこんなところにいるの〜♡」、と両手を振っている。

まるで「こんなところで会えて私すごく嬉しい♡」、を全身で表現してくれているように目を

輝かせながら言った。

だけど私は彼女を目の前にしてなぜか何も言えずに微笑み続けることしかできなかった。

そんな私に「えっ、なになに、どーしたの?」と言った彼女は私よりもだいぶ若い。

私たちは見つめ合ったままだけれども少しの間が流れた。

お互いが感じた違和感で「知っている人にそっくりなのにやっぱり全然知らない人」と彼女は

悟ってしまったから妙な間でお互いが申し訳ない感じで照れ笑いしながらその場を離れた。

二回目は普段は行かない最寄りの駅から二駅目のスーパーでの出来事。

お菓子売り場でお菓子を選んでいる時に近づいてきたおじさんが深々と頭を下げて「こんにち

は」、と言ってとってもニコニコしながら私を見続けた。

私は「えっ?」、と心の中で言って頭を傾げながらただ微笑んでしまった。

そして妙な間があり私たちはお互いニコニコしながらその時間を味わっていた。

すると後から来た奥さんらしき人と娘さんらしき人が私を見るなり「こんにちは」、と言って

また深々と頭を下げてくれた。

そしておじさんの時と同じく私たち三人にも新たな妙な間が流れながら三人でニコニコして

いた。

私たち三人の様子を見ていたおじさんは「知っている人にそっくりなのにやっぱり全然知らな

い人」、と悟ったらしくニコニコしている私たち四人にまた妙な不思議な間が流れた。

そして四人が四人とも「えっ、えっ、えっ?」とか「何、何、何?」みたいな思いを抱きながら

その場から離れて日常の時空間に戻って行ったんだと思う。

二回とも不思議な体験だった。

これほど近くに私のそっくりさんが生活していると思うだけで、ただただ妙な気分になってし

まうしなんだか変な面白みもある。

そう考えれば技術は進化し続けているから、クローン人間だっているのかもしれない。

でも私の場合はクローンを作る意図もないから私のはただのそっくりさんなんだけど。