kusuari7777 diary

ありすの学問「 あり学」へようこそ                         ✨著書 「捧げたかった…。-twin soul fantasy- 」by リラン✨

🌺福島での体験を友達に話した日🌺

はてなインターネット文学賞「記憶に残っている、あの日」・・・私はあの日、レミオロメンさんのライブに参加するために午前中から友達と二人で横浜を訪れていた。東日本大震災の2日前、2011.3.9の横浜は晴れ渡った空が気分爽快で海はキラキラと輝き、お出かけ日和そのものの穏やかさだったので私たちの心はとても弾んでいた。久しぶりの横浜を満喫したい気持ちでいっぱいのウキウキした私たちがそこにはいた。私たちは偶然とても素敵なお店を見つけ、そこでランチをすることにした。何がきっかけでその話をしてしまったのかは全く覚えていないけれど、私はあの時、福島旅行をした時の話を熱弁にも近い感情で話し続けていたことを今でもはっきりと覚えている。そしてあれから何度となく思い出してもいた。当時の私の癖は、「その人が喜びそうな話をする」だったにも関わらず、到底その友達が喜ぶはずもない原発の話をずっと話し続けてしまった。その話は震災が起きる数年前の初夏に突然「福島に行かなければならない」それも「今すぐ行かなければならない」と思ったことから始まった。その思いが日に日に強くなっていることにも気づいていた私は、「行くしかないの?」と思い始め福島を巡るバスツアーに申し込んでしまった。そして旅行中、福島の魅力を満喫していた私だけれど、二泊三日の最終日にバスの窓から見えた巨大な人工物を自分のこの目で確認した時のあの「身の毛のよだつ体験」が私にはあまりにも言葉にピタッとはまった体験だったため、その体験談と今まで誰にも話さずにいた私の原発への思いを彼女の気持ちも考えずに私は永遠と話し続けてしまった。あの時、バスガイドさんが原発の説明をし始めるまで「あの薄気味悪いものの正体」を想像も出来ずにいた鈍い私は、その説明が始まった途端に反射的に目を背け背を向けてしまっていた。人間の感覚とはホントに面白いなといつも思う。バスガイドさんがそう教えてくれるまで私は、いぶかし気に思いながらもずっと見続けていられたにも関わらず、知ってしまった途端にまるで絶対に見てはいけないメドゥーサを見てしまったかのように身体中の細胞が溶け出すような感覚に支配されそのドキドキをしばらく止めることができずにいた。見たくもないものを見てしまった硬直した感覚が、それでも「この感覚を決して忘れるな」とでも言うかのように強い意志を持って私に訴えているようでならなかった。なぜか話が長い私は、そんな事細かなことと原発反対の意思を彼女の迷惑も顧みずランチ中に話してしまったあの日の私のことを不思議に思っていて、だから今でもあの日のことを忘れてはいない私がいる。そして震災から数年経ったある日、その日の思い出話を彼女としたのでその流れで私は「あの時は私の話に付き合ってくれてありがとう〜」なんて軽くお礼を言ってみた。彼女は「全く覚えてないよ〜」と答え、彼女の中ではその話は皆無の状態だったことに私はとても驚かされた。私は「あんなに熱く語ったのに…」と少し拍子抜けしてしまったけれど、それでもその反面ホッともしてしまった。彼女の長所は楽しくないものや面白くもないものにフォーカスしないだから、私の話なんて「忘れちゃってるのは当たり前だよな」と思い、あの時二人でクスクスと笑い合ってしまったことが今では私の楽しかった思い出になっている。